近年、ガンプラ、PS5、トレカ(トレーディングカード)などの価格高騰が続いています
メーカー希望小売価格と比べて、Amazon、メルカリで売られている価格が高騰しているわけです。
この価格高騰の原因だと考えられているのが、本記事で話題にする転売ヤーという存在です。
この記事では、現役転売ヤ―の私が、品薄商品を高額転売する転売ヤーが市場に与える影響から高額転売の善悪について考察していきます。
それでは本編へどうぞ
結論 ガンプラ、PS5、トレカなどの高額転売は悪です
先に結論を申し上げると、転売ヤーは悪だと私は考えています。法律的にということではなく、モラルの問題です。
転売と一口に言っても、転売には社会にとって良い影響を与えるものもあります。昨今の買い占め騒動で認知は高まったものの、転売自体は昔から存在していました。
転売の本来の役割は、小売店が捌きたい在庫を安く買い取り、適正な価格で必要とする消費者の下に届ける仲介役を担います。小売店、消費者、転売ヤーみんなが得をする、クリーンな職業です。
転売ヤーがいなくなれば、お店では在庫は滞り、ほしいものを買いたくても見つからない、そんな悪循環が起こります。
一方、世間が忌み嫌う高額転売の稼ぎ方は本来の転売と異なります。
高額転売の特徴は、品薄の商品を狙って仕入れ、仕入れ額よりもかなり高い額で販売することで大きな利益を上げます。
近年問題となっている、マスク、アルコール消毒製品、ペットの療法食などの必需品から、ガンプラ、PS5、トレーディングカードなどのおもちゃ、ゲームなどの転売がそれにあたります。
本記事ではこの高額転売について取り上げていきます。別に悪いことじゃないと主張する人がいるのも事実ですが、私は高額転売は悪だと思います。
以降では、高額転売賛成派の人の意見も踏まえたうえで、私が高額転売を悪であると考える理由について解説していきます。
※補足:クリーンな転売を”せどり”、高額転売を”転売”という風に、”せどり”、”転売”という言葉を明確に使い分ける人もいます。転売という言葉自体が悪いイメージとして捉えられていることが分かります。
ガンプラ転売の現状
転売ヤーが標的とする商品の一つ、ガンプラ市場の現状を見てみましょう。
昨今のコロナ禍の巣ごもり需要により、ガンプラの需要が高まっているようです。
バンダイでは、需要拡大に対して2020年12月にガンプラ工場を新設し、生産能力を1.4倍に引き上げました。(日経クロステックより)
一方、2022年1月の日経ビジネスの記事では、それでもガンプラは品薄状態になり、店舗では売り切れが続いていると綴られています。
売り切れの原因は転売ヤーの仕業なのか、転売ヤーに取られる前に買いだめしておこうとするモデラ―(プラモデル購買者)が増えたことが拍車をかけているのか。
そして品薄が影響して、あらゆるガンプラの価格は高騰しています。例えば「RGジオング」というガンプラは定価6050円で売られていたものが、1万円前後に取引されるようになっていたようです。
まあ、ガンプラマニアの間で転売ヤー批判に火がつくのは当然ですね。
お店では転売ヤー対策をするようになっています。
- ガンプラ購入の前に、そのガンプラについて質問する
- 購入と同時に袋を開封し、パーツの枠組みを切るようにさせる
- ガンプラ箱の店舗購入の押印
世間の転売ヤーに対する風当たりが強くなっているのが伺えます。
市場に与える転売ヤーの影響
ここでは、転売ヤーが市場に与える影響について考察してきます。
下記表は、一般的な市場における、需要と供給の関係を示しています。
市場の状態 | 価格 | |
---|---|---|
① | 需要>供給 | 高くなる |
② | 需要=供給 | そのまま |
➂ | 需要<供給 | 安くなる |
ある商品の需要に対して①メーカーの供給が少なかった場合、価格競争は起きず、高額でも売れるので価格は吊り上がっていきます。
逆に➂供給が多い場合は価格競争が起こることで価格が下がっていきます。そうして②バランスが取れたところで価格は落ち着いていきます。
これが資本主義市場の仕組みです。
このうち、転売ヤーが仕入れる対象になるのは、①に該当する商品です。品薄なので価格が高くても売れる、うまうまな商品です。
商品が品薄になる経緯は次の2パターンがあります。
- メーカーの生産数自体が少ない
- 市場規模の小さい商品では、転売ヤーが群がることで品薄状態を作り出す
メーカーの生産数自体が少ない
需要に対してメーカーの生産数自体が少なければ商品が品薄になるのは当たり前です。もちろん転売ヤーは群がります。
メーカー側にしてみれば急激な需要の伸びや潜在ニーズをすべて予測できるわけではありません。供給が足りてないと分かっても、材料不足(最近は特に半導体など)、工場増設に時間がかかるなど、すぐに生産数を上げて対応するのが困難な場合もあります。
したがって需要>供給になることに対しては、誰もメーカーを責められません。
生産が十分じゃないなら、メーカーが商品価格を上げて需要を絞り込めばいいじゃないか
そんな意見も聞こえてきそうですが、それはその通り。転売ヤーが儲けなくさせるにはメーカーが価格を上げることで解決します。
ただ、”転売ヤーが悪なのか”という議論の趣旨からは外れるので、次に進めます。
ここで大事なのは、転売ヤーがいてもいなくても世の中に出回っている商品数に変わりはないということです。(転売ヤーが在庫を抱えないことが前提)
転売ヤーが介入してもしなくても、価格は資本主義経済の仕組みに則って高騰していきます。
要するに、転売ヤー、小売店、メーカーの誰が価格を吊り上げるのかの違いに過ぎず、転売ヤーのやってることは自然の成り行きに過ぎない。
これはその通りかもしれません。
市場規模の小さい商品では、転売ヤーが群がることで品薄状態を作り出す
大多数の商品に関しては、転売ヤーが市場価格をコントロールすることはできません。需要と供給のバランスを覆らせるほどの力が転売ヤーにはないからです。
したがって品薄になる⇒転売ヤーが購入するという順序が成り立ちます。
ところが昨今、転売ヤーの数は劇的に増えてきています。コロナ下での不況(飲食業界、航空業界など)もあって、誰でも簡単に儲けるビジネスがあると知って飛びついていくのでしょう。
さらに、転売ヤーを対象とした情報発信者の数も増えています。彼らは情報を発信してアフィリエイトで稼ぐ、もしくはコンサルの見込み客を増やすなどして儲けます。
情報発信者(インフルエンサー)がひとたび「○○の商品が品薄になりそうです。皆さん仕入れましょう」と発信すれば、転売ヤーはその商品に群がります。
そうなれば、発売前の予約の段階から商品を差し押さられ、供給が足りていたとしても、見かけ上は供給が足りていない状態となるのです。
予約転売の情報発信をするYoutuberの動画を見ればその現状を目の当たりにできますが、彼らの仕入れの規模は想像を超えています。
このように転売ヤーが1つの商品に集中することで需要と供給のアンバランスが加速すれば、価格の高騰は瞬時に起こります。この流れでガンプラ新作の争奪戦は実際に起きているとされています。
市場規模が小さい商品ほど、その傾向は高まります。転売ヤーが仕入れる⇒品薄になるの順序に順番が逆転するのです。
家電や食品などと比べ、ガンプラ、ポケモンカードや遊戯王などのトレーディングカード、その他数量が限られる限定品はそもそもの市場が小さいため、メーカーも転売ヤーが影響して品薄になるなどと予期はできません。
転売ヤーの力は徐々に影響力を増し、市場をコントロールほどになってきています。
転売ヤーが悪だと考える理由
商品が品薄になる理由を2パターン解説しました。
いずれにせよ需要と供給のアンバランスが価格の高騰の引き金になるということですが、これは転売ヤーがいなくても起こることなのかもしれません。
ただし、転売ヤーが需要と供給のアンバランスを加速していることは大いに考えられます。転売ヤーの集中で供給量は一時的にでも、少量でも減ります。
また、転売ヤーが安く購入できた分は少なくとも安く買えるはずだった人がいたはずです。
だから転売ヤーは悪だと考えます。
転売ヤーの存在意義とは
お金を稼ぐということは何らかの価値を提供することだと私は考えます。
最初の方でお伝えしましたが、転売はもともと社会の役に立つビジネスのはずです。
高額転売はどうでしょう。
確かに、高額でも転売ヤーのおかげで商品を手にできる人はいます。
でも転売ヤーが商品を買い占めたために商品を手にできなかった人もいて、手にできた人も余分なお金を払わされています。
転売ヤーが安く購入できた分は少なくとも安く買えるはずだった人がいたわけで、転売ヤーがやっていることはトータルで考えるとマイナスです。
価値を提供するどころか、迷惑行為になっています。簡単に儲かる人がいるということは、どこかに負担を強いられている人もいるということです。
転売は違法じゃないのはわかっています。生活が困難で転売にしがみついている人もいるかもしれませんが、誰かが不幸になるような稼ぎ方はやめた方がいいと思います。
これはモラルの問題です。
結論、高額転売はやめましょう。
まとめ
転売は悪であると考える理由について解説しました。
もちろん反対意見もあるでしょう。何か意見がある方はぜひ、お問い合わせフォームもしくはSNSであなたの意見を聞かせてください。
転売、せどりをする人はぜひ、クリーンなせどりをしていきましょう。
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